銃口と涙






灰色の空に明日を失って
瓦礫の間で立ち竦む
風と埃に弄ばれた髪が
鉄の塊を撫でてはしゃいだ

手のひらの偲び草を
強く握り締めて

鈍色を一つ  こめかみに添える
その向こうに何が見える
飴玉を一つ  頬に転がす
ここに何か在るのだろうか

藍色の夜に昨日を数えて
空蝉の上で前を向く
想い宿した紅差し指を
生温い鋼に滑らせ笑った

流れゆく潦を
じっと堪え忍んで

鈍色を一つ  胸元に据える
その向こうに何が見える
飴玉を一つ  足元に溢す
そこに花は咲くのだろうか





潦=ニワタズミ


    



2009/7/18  しき