雨と否





迫る満月に恐怖する
割れる石畳を逃げ惑う
水滴が脚を穿って
もう走れない

這いずり進む
見知らぬ路地裏

何処か  何故か
答は溝へ流れゆく

悠々と横切る夜色
鍵尻尾を揺らす猫の
憐れむような鳴き声で
目を覚ました

ある雨の朝のこと







    



2009/6/20  しき