哀歌






色彩溢れる世界に
無色の影が揺らぐ

視界を覆う白銀
脳裏を掠める漆黒

焦がれた  姿

薄氷の瞳は喜悦に閉ざされ
唇は至上の快楽にしなる

甘く低く  名を呼ぶ声
囁くたび  細雨が突き刺さる痛み

嘲笑  鈍色を招き入れて
微笑  赤色を生み出す

薄靄に包まれる中で
傾ぐ身体が叫んだ

愛していた  と





鈍色=ニビイロ

    



2008/8/16  しき