愛を忘れてくれますか






またあひませう

君は言つた
唇は乾ゐてゐた
その度に私は
昏い塊を嚥下した

あひませう

嗚呼 それはいけない
苦しんだといふのに
悲しんだといふのに
君は

此方をじつと見詰めて
私の手を握り
笑つてゐた
木漏れ日のやうに

笑つてくれるがいい
私は怖れてゐる
己の弱さが
怠惰が傲慢が
招ゐた罪の重さを
清い涙の温度を

またあひませう

目を閉じた君の傍らで
私はゆつくりと
首を振つた






    



2009/11/7  しき