どこが痛むのかは考えない
棘のある花を摘みました
指先に花が咲きました
心配さうなあなたの
彼のやはらかな眼差しは
今此の花を美しく育ててゐます
今年も花を摘みました
真つ赤な花が咲きました
手首を伝ふ雫は
ただはらはらと地に落ちて
まう其の声は聞こへないといふのに
あなたの頭上
茎を掌の中に
花弁は下へ滔々
だいじやうぶか と
まう一度
言つて欲しいのです
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2010/5/3 しき