君なんか捨ててしまうよ





爪先から腐つてゆく
熟れすぎた柿のやうに
かといつて甘美な香りはなく
ただ黒々とやはらかくなる

冒された内側は
たうに崩れてしまつたのだ

嗚呼 君よ
目の前で微笑む君よ
だうか後生だから
蔑んではくれまいか

さうすれば君を裏切れる
細い髪に触れるこの指が
落ちてしまう前に






    



2010/5/8  しき