ある夕暮れ





目覚めて 腕は己を抱く
夢で求めた抽象を
現実の具体に見い出そうと
髪に絡んだ薄靄を拾う
決して存在しないそれ

胸中に立ち込める乳白色は
未だ知らぬ愛しさと
疾うに知り得た淋しさとを模して

嗚呼 それは誰であったのか






    



2010/5/21  しき