空回り





綺麗な花を溢れるほどに
疾うに崩れた右手に抱いた
跡訪う袖に露は無く
ただ日々だけを重ねゆく

甘い香りの底に埋もれて
頬より乾いた秋蕊の

あの日右手が
酷く冷たかった
気がした





跡訪う=アトトウ
秋蕊=アキシベ

    



2010/6/12  しき