廃棄処分






目を開けたら
あなたが居ません
掻き抱いていた筈の

存在意義を失って
視界には0と1
記号の群れが泳いでいます

あなたは何処ですか
無音の世界で耳を澄ませて
あの日の歌を紡ぎましょう


腕を伸ばしたところで
羅列で作られたそれは意味を成さず

名を呼んだところで
情報が生み出したそれが届くことなど


点と線が象る差異
あなたと私の世界は
隔てられてしまったのだと

居なくなったのは
あなたではなく
消え逝くのは 

あなたは其処ですか
無色の世界で光を掬い
あの悲の唄を遺しましょう



緩やかに霧散する中で
愛しい声を

きいた





掻き抱いて=カキイダイテ

    



2008/9/4  しき